皆さま、ご機嫌麗しゅうございますか?
タイ料理は、日本でもすっかり不動の地位を築いていて、お馴染みのお料理となったわね。
でも、皆さま、そもそも‘タイ料理ってどんなお料理?’と思われたことはないかしら?
ホム マリも、バンコク在住時に体感的に感じ取っていた、何となくの感覚はあったのだけれど、実際タイ料理について、深く追求したことってなかったのよね。
そんな折、タイ料理について、じっくりと‘研究’された一冊に出会ったの。
今日は、「世界の食文化5 タイ(山田均 著、農山漁村文化協会 発行)」のお話。

先ず、こちらの本のタイトルからもお分かりになるように、‘世界の食文化’という全20巻からなるシリーズの中の一冊なのよ。
食文化を語るうえでは外せない、フランス中国といった国々の中で、タイもその1巻をなしていることは、改めてタイ料理が‘食文化’という面からも確たるものであると実感したわ。
というのも、この‘世界の食文化’シリーズでは、タイの近隣諸国(ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー)は、まとめて一冊に取り扱われているの。

タイ人の食生活

世界の食文化5 タイ(山田均 著、農山漁村文化協会 発行)」の第1章では、なんと、12人のタイ人の食生活が描かれているの。
その12人は、もちろん職業家族構成性別年齢出身地家系もまったく異なるタイ人で、それらの方々の日常生活を通して見えてくる‘タイ料理’がとても面白いのよ。
十人十色という言葉があるけれど、正に12人12色食生活なの。
でも、それらは全て、紛れもなく‘タイ料理’なのよね。
和食といっても、高級料亭で出されるような懐石料理から、コンビニで売られているおにぎりまで幅があるのと同じ感覚がタイ料理にもあるっていうことを、その12人の食生活がリアルに示しているわ。
中でも、僧侶食生活は、タイ料理というだけではなく、タイの食文化の一部として外せないわね。

世界の食文化 (5) タイ

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タイ料理の歴史

そして第2章では、「タイ料理の形成」として、タイ料理の歴史が時代順に考察されているの。
ホム マリは、この章が一番興味深かったわね。

タイ最初の統一王朝と言われている、スコータイ王朝期から取り上げられているのだけれど、スコータイ王朝といえばこの碑文!と言われるくらい有名で、ホム マリですら知っていた‘田に米あり、水に魚あり’という言葉。
当時の豊かな大地を現したもので、国が安定していた証という認識だったけれど、食文化という側面から見たときに、タイ料理の原点であるということに、物凄く納得したわ。
ちょっとお話がそれるけれど、ホム マリは、以前から日本も含めたお米が主食の文化では、食事をする=ご飯(お米)を食べる という表現をするのねと思っていたの。
タイでも、食事という言葉は、アハンという言葉があるのだけれど、ほとんどの場合、ギン(食べる) カオ(ご飯)と言うのよ。
中国語も然りね。
これって、パン文化圏では無い表現ではないかしら。
そんなお米が主食の文化が、タイスコータイ王朝期には既に確立されていたということね。

その後、アユタヤ王朝時代の胡椒唐辛子のお話も、ホム マリは、目から鱗だったわ。
なるほど‘プリック タイ(胡椒)’ね。
タイ料理といえば唐辛子というイメージが、少し違って見えてくる気がしたわ。
でも、この時代の国際的アユタヤにおいて、タイ料理原型が出来上がったそうよ。
タイ米を原料に造られる沖縄の泡盛も、こんな時代に伝わったのかしらね。

更に時代が下り、現王朝下近代化が進むと、西洋の文化にも影響されたタイ料理となり、ほぼ現在のタイ料理に近いものになったのだそう。
そしてこの頃になると、タイ料理自体だけではなく、その提供スタイル、ホテルレストランの発展、更には、デパートファストフードといったものの登場によるタイの食文化の展開が記されていて、ホム マリは、終始なるほど!と思いながら読ませて頂いたわ。

各地方の特徴とタイ食材

世界の食文化5 タイ(山田均 著、農山漁村文化協会 発行)」の第3章では、イの各地方のお料理の特徴が、レストランでお食事をオーダーする形式で分かりやすく描かれているの。
北部東北部(イサーン)・中部南部が取り上げられているけれど、著者によると、北部のお料理が最も本来のタイ族の食を引き継いでいるそうで、ホム マリも、益々北部のお料理に興味が湧いてきたわ。
また、この章では、代表的なお料理のレシピも掲載されているのだけれど、お写真やイラストが全くないので、見たことが無いお料理をイメージするのは、ちょっと難しいわね。

そして、最後の第4章は、タイ食材調理法の「小辞典」となっているわ。

ご覧のとおり、「世界の食文化5 タイ(山田均 著、農山漁村文化協会 発行)」は、タイ料理を深く知りたい!と思われている方には、とても読み応えのある本ではないかしら。
発行されたのが2003年で、その後もタイ料理タイの食文化は進化を続けているのは、ホム マリも感じているけれど、タイ料理ベースとしての知識を得るためには、欠かせない一冊といっても過言ではないわね。
それでは、皆さま、チョクディーカ。

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